図66.リング発振回路2
しかしA点の状態が「1」になると3つのNOT回路の出力は左から順に0→1→0となり、B点の状態が「0」に変化してしまいます。
B点の状態が「0」になると再びA点の状態も「0」になってしまうため、その後に続くNOT回路の出力も変化して…、という具合に延々と各点の電位が「1」と「0」を行ったり来たりする状態が続くことになってしまいます。
一見するとこのような矛盾のある回路は成り立たないようにも思えます。しかし、NOT回路の入力の状態が決まってから実際に回路内部に電流が流れて出力電位が変化するまでの間には、わずかな時間ではあっても遅れが生じています。この信号伝達の遅れがあるために上図の回路ではA点、B点ともに「0」の状態と「1」の状態を行ったり来たりする現象が起こります。このような現象のことを「発振」と言います。
クロック信号はこのような発振現象を起こす「発振回路」によって作られています。
※より本格的な発振回路ではコンデンサや抵抗を使った充放電の機能を利用することで信号の伝達遅延時間を調整し、発生させるクロック信号の周波数(1と0が行ったり来たりする速さ)を制御するようなことも行われます。