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NOT回路」「OR回路」「AND回路」を組み合わせることで計算ができるようになります。ここでは代表的な演算回路である足し算をする回路(加算回路)についてその構造を見てみましょう。

 

加算回路_0

図16.加算回路

 

上図の回路は入力xと入力yに数値を表すデジタル信号を入力することで、出力zxyを足し算した答えがデジタル信号の形で出力される仕組みになっています。入力xと入力yはそれぞれ入力端子Aと入力端子Bの2つの端子を持っており、出力zは出力端子A、出力端子B、出力端子Cの3つの端子を持っています。

入力端子の数はxyのそれぞれの端子に2本ずつしかないので表現できる組合せは4通りのみとなります。この回路では0~3までの数値に以下のようなパターンに割り当てて計算を行います。

 

加算回路_入力

図17 入力数値のパターン表

 

出力端子zは3本の端子を持っているので表現できる組合せは8通りになります。この回路では0~7までの数値に以下のようなパターンに割り当てて計算を行います。

 

加算回路_出力

図18 出力数値のパターン表

 

ここでは例として2+3の計算を行ってみましょう。入力xに2を入力し、入力yに3を入力します。2+3の答えは5なので出力zには5が出力されるはずです。

入力数値に割り当てられたデジタル信号のパターン表から、入力xに2を入力する場合には入力xB端子には1を、入力xA端子には0を入力すれば良いことが分かります。おさらいになりますが、デジタル信号の1というのは「高い」方の電圧(電源電圧、例えば3[V]など)を意味し、デジタル信号の0というのは「低い」方の電圧(0[V]付近)を意味します。

入力yに3を入力する場合も同じパターン表を使ってデジタル信号へと変換します。入力数値は3なので入力yB端子に1を、入力yA端子にも1を入力すれば良いことが分かります。

 

加算回路_1

図19.加算回路1

 

入力端子にデジタル信号が入力されると、まずは入力端子に直接接続されているOR回路とAND回路へと信号が伝わります。

 

加算回路_2

図20.加算回路2

 

最初のOR回路とAND回路がそれぞれの入力に従って出力信号が決定されます。(OR回路はどちらかの入力端子に「1」が入力されていれば出力が1に、AND回路は両方の入力端子に「1」が入力された時にはじめて出力が1になります。)

 

加算回路_3

図21.加算回路3

 

最初の回路の出力が決定されるとその信号は先に接続されているNOT回路へ伝わって信号が反転します。

 

加算回路_4

図22.加算回路4

 

その後も前段の回路の出力が次につながる回路の入力へと伝わる形で信号の加工処理が進んでいきます。

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加算回路_5

図23.加算回路5

 

加算回路_6

図24.加算回路6

 

加算回路_7

図25.加算回路7

 

加算回路_8

図26.加算回路8

 

加算回路_9

図27.加算回路9

 

加算回路_10

図28.加算回路10

 

加算回路_11

図29.加算回路11

 

加算回路_12

図30.加算回路12

 

最終的に出力zC端子には1、B端子には0、A端子には1が出力されました。出力数値のパターン表からこの結果は数値の「5」を表していることが分かります。

最初に入力xと入力yに入力した数値は「2」と「3」ですので、2+3=5という足し算の結果が電気的な仕組みによって自動的に計算されたことがわかると思います。はじめは不思議に思えるかもしれませんが入力する数値を他の数値に変えてみてもちゃんと結果は入力x+入力yの答えが出てくるようになっています。いろいろな数値を入力して実験してみてください。

 

加算回路の動作

図31.加算回路の動作

 

ここまで来ると少しコンピュータの中身についてイメージが湧いてきたのではないでしょうか。トランジスタという単純なスイッチ機能しか持たない部品でも、うまく組合せることで計算機能を実現することができます。最終的にコンピュータを完成させるためにはこの他にもいくつかの機能が必要になってきますが、それらの機能も全てトランジスタという単純なスイッチ動作の組合せでできています。

上で示した足し算回路は実験用に回路規模を小さくしてありますが、もちろん回路規模を大きくして入出力端子を増やすこともできます。実際に用いられているコンピュータでは小さいものでも数値を8つ以上の端子で扱うことが多いです。例えば入出力ともに8つの端子を持つ足し算回路を作る場合は、端子H、端子G、端子F、端子E、端子D、端子C、端子B、端子Aという具合に、入力x、入力y、出力zそれぞれに8つの端子を持つことになります。8つの「1」と「0」の組合せで数値を表現できるので0~255までの、256通りの数値を扱える足し算回路になります。(ちなみにここで言うような端子の数のことを「ビット」と呼びます。8つの端子で計算を行うコンピュータのことは8ビットコンピュータなどと呼ばれます。)

0~255までの数値を使った足し算となると組合せの数が膨大になりますので、回路規模が大きくなっても正しく計算ができるのか不安かもしれませんが、ちゃんとできるようになっています。同じような仕組みで引き算回路も作ることができます。そしてデジタル回路で作れるのは計算回路だけではありません。どのような入力があった時に出力端子にどのパターンを出力すべきかがはっきりと決まっているものであれば、そのルールに従って動作する回路を全て「NOT回路」「OR回路」「AND回路」の組合せだけで作れるようになっているのです。

例えば入力端子に複数のセンサーの出力を接続し、出力端子に複数の電球やモーターを接続しておいて「どのセンサーがONになった時にどの電球とモーターをONにするか」といった具合に入力パターンと出力パターンの対応さえ決めることができれば、そのようなルールで動作するような回路も「NOT回路」「OR回路」「AND回路」の組合せで作ることができます。

実際の回路の作り方としては「カルノー図法」というものがあるのですが、今では入力パターンと出力パターンの対応さえ決めてしまえばあとは専用のソフトウェアが自動で回路を出力してくれますので、自分でこの問題を解く機会はほとんどないと思います。ですのでここではコンピュータの仕組みをイメージするためにデジタル回路で計算を行うことができるということを説明するだけにとどめておこうと思います。

 

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