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コンピュータの中では電圧の「高い」「低い」といった状態の組合せによって様々な情報を表現できることがわかりました。ですが、コンピュータの機能を実現するには情報を表現するだけではなく、その情報を判断したり計算したりといった、情報を加工処理する機能が必要になります。

コンピュータ内ではもちろん情報の加工処理もトランジスタを使った電気回路によって電気的に行われます。コンピュータ内に取り込まれた情報は全て、電圧の「高い」「低い」といった電気信号の形になっています。デジタル回路の中では「高い」電圧というのは回路の電源電圧(3[V]だったり5[V]だったりといろいろな種類の回路があります。)に近い電圧となり、「低い」電圧というのは0[V]に近い電圧となります。これ以外の電圧が出力されることはなく、必ず「高い」方か「低い」方のどちらかの電圧しか出力されません。このような信号のことを「デジタル信号」と言います。

情報の加工処理を行う回路というのは具体的には電圧の「高い」「低い」といったデジタル信号を入力した時に、一定のルールに従って新たなデジタル信号を出力する回路のことになります。

情報の加工処理を行う回路には基本となる3つの回路があります。この3つの回路を組合せるだけで、どんな加工処理も出来るようになってしまいます。その3つの回路とは「NOT回路」「OR回路」「AND回路」です。

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NOT回路

NOT回路は「高い」電圧(電源電圧である3[V])が入力されたときには「低い」電圧(0[V]付近)を出力し、逆に「低い」電圧が入力されたときには「高い」電圧を出力する回路のことです。以下のような回路になっています。

 

NOT回路_高い電圧を入力したとき

図7.NOT回路 高い電圧を入力したとき

 

NOT回路_低い電圧を入力したとき

図8.NOT回路 低い電圧を入力したとき

 

NOT回路自体の説明をする前に上図の回路に出てきたR1という抵抗について少し説明しておきたいと思います。

まず、このベース端子の手前に配置されたR1抵抗はトランジスタを保護するための抵抗であり、NOT回路の本質的な機能に影響を与えるものではありません。

これまでの説明でトランジスタのベース、エミッタ間に0.7[V]以上の高い電圧をかけるとトランジスタが壊れてしまうという話をしました。R1抵抗があることによって例えばデジタル信号の「高い」方の電圧(3[V])が入力されたとしても、R1抵抗で電圧降下が発生することでベース、エミッタ間電圧が0.7[V]に抑えられる仕組みになっています。(このあたりの詳しい仕組みや抵抗値の計算方法などはコンピュータの仕組みを理解する上で必ずしも理解しなければならないことではありませんので、また別の機会に解説したいと思います。)

R1のような抵抗をベース端子の手前に置くことで、トランジスタを使ったデジタル回路の入力に別のデジタル回路の出力信号を接続できるようになりました。R1のような抵抗はこの後に出てくるOR回路とAND回路にも使われています。

NOT回路の説明に戻ります。NOT回路の入力に「高い」電圧(3[V])が入力された場合はトランジスタがON状態となり、R2抵抗に電流が流れます。R2抵抗に流れ込んだ電流はR2で電圧降下(3[V])を発生させるため出力電圧は「低い」電圧(0[V])となります。

NOT回路の入力に「低い」電圧(0[V])が入力された場合はトランジスタがOFF状態となり、R2抵抗には電流が流れなくなります。するとR2抵抗では電圧降下が起こらなくなるので出力電圧は「高い」電圧(3[V])となります。

NOT回路は「高い」電圧を入力すると「低い」電圧を出力し、「低い」電圧を入力すると「高い」電圧を出力する、デジタル信号の反転回路です。NOT回路は以下のような記号で表され、A端子に入力したデジタル信号が反転した状態でB端子に出力されるようになっています。

 

NOT回路_真理値表

図9.NOT回路の記号と入出力関係

 

ここからは表現を簡略化するため、「高い」電圧の状態のことを「1」、「低い」電圧の状態のことを「0」と記載することにします。

 

OR回路

OR回路は並列接続された2つのトランジスタに対してR3抵抗が直列に接続された回路になります。2つの入力端子「A」「B」と1つの出力端子「C」を持っています。(R1抵抗、R2抵抗はトランジスタの保護抵抗です。)

 

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OR回路

図10.OR回路

 

R3抵抗へ電流が流れるか流れないかを決定するのはA端子とB端子が接続された2つのトランジスタですが、この2つのトランジスタはお互い並列に接続されているため、どちらかが一方でもON状態になればR3抵抗へ電流が流れる構造になっています。R3へ電流が流れるとR3で電圧降下が発生するため出力端子「C」の電位は電源電圧付近まで上がります。2つの入力端子「A」「B」と出力端子「C」の入出力関係をまとめると以下のようになります。

 

OR回路_真理値表

図11.OR回路の入出力関係

 

A」「B」どちらかの入力端子に「1」が入力されていれば出力端子「C」は1になります。またOR回路は以下のような記号で表されます。

 

OR回路_記号

図12.OR回路の記号

 

AND回路

AND回路は2つのトランジスタとR3抵抗が直列に接続された回路になります。2つの入力端子「A」「B」と1つの出力端子「C」を持っています。(R1抵抗、R2抵抗はトランジスタの保護抵抗です。)

 

AND回路

図13.AND回路

 

R3抵抗へ電流が流れるか流れないかを決定するのはA端子とB端子が接続された2つのトランジスタですが、この2つのトランジスタとR3抵抗は全て直列に接続されているため、2つのトランジスタが両方ともON状態にならなければR3抵抗へは電流が流れない構造になっています。ですので2つの入力端子「A」「B」と出力端子「C」の入出力関係は以下のようになります。

 

AND回路_真理値表

図14.AND回路の入出力関係

 

A」「B」両方の入力端子に「1」が入力された時にはじめて出力端子「C」が1になります。またAND回路は以下のような記号で表されます。

 

AND回路_記号

図15.AND回路の記号

 

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