これまでの説明に出てきた「トランジスタのON/OFF」という状態は、実際の回路上では「電圧の高低」という、物理的に検出しやすいかたちで計測できるように回路が作られています。
トランジスタのON/OFFの状態は以下のような回路を組むことによって「電圧の高低」というかたちで測定できるようになります。
図6.電圧で表される情報
上図の回路ではトランジスタのコレクタ端子と抵抗の間から出力端子が出ています。この回路ではトランジスタがONになると抵抗に電流が流れるようになっています。(上図のトランジスタ1の状態)
トランジスタがONになると抵抗では流れ込んだ電流によって電圧降下が生じますので(オームの法則)、その結果、出力端子の電位は0[V]付近まで低下します。
逆にトランジスタがOFFになると(上図のタランジスタ2の状態)抵抗に電流が流れなくなるため抵抗での電圧降下も発生せず、出力端子の電位は電源電圧と同じ3[V]になります。
上記の回路のように、これまでの説明に出てきた「トランジスタのON/OFF」という状態は、実際の回路では「電圧の高低」というかたちで出力されてきます。よく「コンピュータは0と1の情報だけで全てを処理している」などという表現でコンピュータの仕組みが説明されることがありますが、これも電圧の「高い」「低い」を数値の「1」「0」に置き換えて表現しているだけで言おうとしている事は同じです。
大事なことはトランジスタの「ON」「OFF」という動作によって出力電圧が「高い」状態になったり「低い」状態になったりする2つの状態を持つ回路が作成できるという点と、2つの状態を持つ回路を複数組合せることによって様々な情報を識別パターンに割り当てて表現する事ができるという点です。
このような特徴を持つ回路のことをデジタル回路と呼びます。コンピュータもデジタル回路の一種です。
デジタル回路の世界では回路の出力電圧が「高い」状態を数値の「1」として扱い、回路の出力電圧が「低い」状態を数値の「0」として扱うことが多いです。これは数値を「1」と「0」だけで表現できる2進数という表現方法がコンピュータ上で数値を扱うのに便利に利用できるためです。2進数についてはまた後ほど、解説の中で少しづつ紹介していきます。