しかし、だからと言ってせっかく買ってきた部品が壊れるのはやはり嫌なわけです。火が出たりするのも危ないです。そこで電子工作初心者の方の不安を少しでもやわらげるために、まずは電子回路が壊れるのはどういう時か、自分で回路を作ってみる時に気をつけないといけないのはどういう事か、という点を先に解説してみたいと思います。
まず、電子工作で「回路を壊してしまう」という現象をもう少し具体的に考えてみます。これはほとんどの場合「電流を多く流し過ぎてしまい、回路を焼いてしまう」ということだと思います。なので漠然と「この回路で、このつなぎ方で壊れないかな?」と不安に思った時は、より具体的に「この回路で電流はいくら流れるかな?」というように考えてみましょう。そして初心者の方が不安に思うのは、「電流や抵抗に対するスケール感覚が不足しているため」という理由が多いように思います。私も最初の頃はこの感覚が分かりませんでした。電流値や抵抗値というのは普段数値として見聞きする事が少ないですし、回路設計の経験がない最初の頃は当然ですね。
例えば「長さ」という尺度について言えば、私たちの中にこれまでの経験から身についた感覚的な基準があります。なので、30[cm]の高さの踏み台から飛び降りることは安全だと感じ、70[cm]の高さのテーブルから飛び降りる時は慎重になります。そしてこれが地上6[m]の高さのビルの3階から…ということになれば絶対に危険だと判断できるわけです。
ですがこれが[A](アンペア)という電流の尺度になった場合どうでしょうか?例えば1[A]という電流は大きいと感じるでしょうか、小さいと感じるでしょうか。私たちの中に比較対象となる基準がなければ判断することができません。この電流の大きさに対するスケール感を先に知識として知っておくことで、電子工作初心者の方の不安感を少しはやわらげることができるのではないかと思います。次のページからは具体的な例を使って解説していきたいと思います。