抵抗値を変えると線の傾きが変わります。線の傾きが変わると交点も移動することから、2つの抵抗の抵抗値の比によって分圧点が決まることが見て取れます。
この電圧・電流特性の重ね合わせをLEDと抵抗でやると以下のようになります。
上の図を見ると分かると思うのですが、LED内の抵抗値(傾き)は順方向電圧付近で急に0になる(傾きが垂直に近づく)ような特性を持っているため、抵抗器の抵抗値を増減させたとしても交点の位置はほとんど上下(電流方向)にしか動きません。
交点が上下にしか動かないということは抵抗値を変えても分圧点はほぼLEDの順方向電圧付近でしか動かないことを意味しています。なのでLEDと抵抗の直列回路においては最初からLEDの電圧値は順方向電圧付近で落ち着くという前提で考えることができるのです。あとはLEDにいくらの電流を流して使いたいかによって抵抗値を決めて行けば良いことになります。
ここでトランジスタに話を戻します。トランジスタのベース・エミッタ間の電圧・電流特性もLEDと同じような特性を持っています。
なので以下のように電源とベースの間に抵抗を入れると、抵抗値に関わりなくベース・エミッタ間の電圧は立ち上がり電圧0.7V付近に落ち着きます。
したがって、抵抗値はLEDのときと同じようにベース・エミッタ間にどれだけの電流を流して使いたいかによって決めれば良いことがわかります。
抵抗 R = (電源電圧 – トランジスタ立上り電圧) / ベース・エミッタ間に流す電流値
ベース・エミッタ間に流す電流値をいくらにすれば良いかという問題はコレクタ・エミッタ間にいくらの電流を流したいかによって決まります。ベース・エミッタ間電流はコレクタ・エミッタ間電流をhFEで割った数値になるので、結局バイアス電圧をかけるための抵抗値の計算は以下のようになります。
抵抗 R = (電源電圧 – トランジスタ立上り電圧) × hFE / コレクタ・エミッタ間に流す電流値
(トランジスタを増幅器として使用する場合はこのベース・エミッタ間に流す電流値というのはバイアス電流の値ということになります。バイアス電圧というのは上記の説明からも分かる通りほぼ0.7Vから動かないので、バイアス回路を設計する際に「バイアス電圧をいくらにするか」というような考え方はあまりしません。バイアス回路を設計する際には「バイアス電流をいくら流すか」という考え方を元に設計を進めて行きます。)