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トランジスタの扱いというのは初心者にとってはとても難しいものに思えてしまうでしょう。それに比べると同じ半導体部品であるダイオード、特にLEDなどは電子工作でもよく使われる部品なのでいくらか気軽に扱えると思います。

トランジスタのベース・エミッタ間はダイオードと同じ構造

実はトランジスタのベース・エミッタ間の接合はダイオードのアノード・カソード間の接合と全く同じPN接合なので、LEDを光らせるときと同じ考え方でトランジスタのベース電流を流すことができます。

トランジスタとダイオード

まずはよく使われるLEDの抵抗値を決める式をみてみましょう。以下の回路図のように電源電圧VCCに抵抗RとLEDが直列に接続されているとします。接続するLEDは順方向電圧3.1Vの白色LEDを使用します。LEDには順方向電圧とともに、どれくらいの電流を流して使用すれば良いかという電流値がスペックとして示されています。今回使用するLEDは30mAで使用するものとします。

LED回路

この場合のLEDに接続する抵抗Rの値は以下の式で求めることができます。

抵抗 R = (電源電圧VCC – LED順方向電圧) / LEDに流す電流値

電源電圧を5VとするとLEDと直列に入れる抵抗値は以下の計算式によって約63Ωということになります。

抵抗 R = (5 – 3.1)V / 30mA

とりあえずLEDを光らせるだけなら上の式を覚えておくだけで十分なのですが、ここではなぜこの計算式で抵抗の値が決まるのかについて掘り下げて考えてみたいと思います。

まず最初にこの式を使うときに違和感を感じるのは「なぜLEDの電圧値が初めから3.1Vになるという前提で話が進むのか」ということだと思います。これには半導体特有の電圧・電流特性が関係しています。

白色LEDの電圧電流特性

次に示すのは抵抗の電圧・電流特性です。抵抗の場合はかける電圧とそこに流れる電流との関係は比例関係にあるので、電圧・電流特性は以下の通り直線になります。

抵抗の電圧電流特性

ちなみに2つの抵抗による分圧の割合を視覚的に理解する方法として、抵抗の電圧・電流特性を重ね合わせる方法があります。以下のように片方の抵抗の特性を左右反転させた状態で重ね合わせると2本の線の交点となる電位が分圧点になります。

抵抗分圧回路

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抵抗値を変えると線の傾きが変わります。線の傾きが変わると交点も移動することから、2つの抵抗の抵抗値の比によって分圧点が決まることが見て取れます。

抵抗分圧回路2

この電圧・電流特性の重ね合わせをLEDと抵抗でやると以下のようになります。

LEDと抵抗の直列回路

上の図を見ると分かると思うのですが、LED内の抵抗値(傾き)は順方向電圧付近で急に0になる(傾きが垂直に近づく)ような特性を持っているため、抵抗器の抵抗値を増減させたとしても交点の位置はほとんど上下(電流方向)にしか動きません。

交点が上下にしか動かないということは抵抗値を変えても分圧点はほぼLEDの順方向電圧付近でしか動かないことを意味しています。なのでLEDと抵抗の直列回路においては最初からLEDの電圧値は順方向電圧付近で落ち着くという前提で考えることができるのです。あとはLEDにいくらの電流を流して使いたいかによって抵抗値を決めて行けば良いことになります。

ここでトランジスタに話を戻します。トランジスタのベース・エミッタ間の電圧・電流特性もLEDと同じような特性を持っています。

トランジスタのIb-Vbe特性

なので以下のように電源とベースの間に抵抗を入れると、抵抗値に関わりなくベース・エミッタ間の電圧は立ち上がり電圧0.7V付近に落ち着きます。

トランジスタのベース抵抗

したがって、抵抗値はLEDのときと同じようにベース・エミッタ間にどれだけの電流を流して使いたいかによって決めれば良いことがわかります。

抵抗 R = (電源電圧 – トランジスタ立上り電圧) / ベース・エミッタ間に流す電流値

ベース・エミッタ間に流す電流値をいくらにすれば良いかという問題はコレクタ・エミッタ間にいくらの電流を流したいかによって決まります。ベース・エミッタ間電流はコレクタ・エミッタ間電流をhFEで割った数値になるので、結局バイアス電圧をかけるための抵抗値の計算は以下のようになります。

抵抗 R = (電源電圧 – トランジスタ立上り電圧) × hFE / コレクタ・エミッタ間に流す電流値

(トランジスタを増幅器として使用する場合はこのベース・エミッタ間に流す電流値というのはバイアス電流の値ということになります。バイアス電圧というのは上記の説明からも分かる通りほぼ0.7Vから動かないので、バイアス回路を設計する際に「バイアス電圧をいくらにするか」というような考え方はあまりしません。バイアス回路を設計する際には「バイアス電流をいくら流すか」という考え方を元に設計を進めて行きます。)

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